「アル〜!!」
「うわ、。」
アルフォンスが部屋に入ると、旅の仲間であり、兄のエドワードの恋人であるが飛び出してきた。
アルフォンスがびっくりしたのは、彼女が自分に抱きついてきたからだ。
「抱きつく相手が違うんじゃない?」
アルフォンスは離れないをあやしながら、ため息混じりにそうたしなめる。
が、それを聞いたの顔はみるみるうちに不機嫌になり、後方にいるエドワードをちらりと見た。
「・・・誰が愛想のないガキなんかに。」
不機嫌な顔のままぽつりと呟かれた言葉に、エドワードはすかさず抗議の声を上げる。
「なんだとぉ!」
「なによぉ!」
そのまま意味のない言い争いに発展した2人を眺めやり、アルフォンスはまたか・・・とため息をついた。
この2人、一応は恋人同士なのだが、その実、けんかばかりしている。
けんか腰でしか会話ができないのか知らないが、こんなことはもう日常茶飯事だった。
本当に、いつも疑問に思ってしまう。
「2人とも、本当に恋人同士なの?」
呆れたようなアルフォンスの言葉に、言い争っていた2人がぴたりと止まった。
一瞬の沈黙。
「・・・一応?」
「・・・多分?」
おいおい・・・とアルフォンスは呆れた。
自分たちの関係に自信なさげでどうする。
「それにしては甘い空気と言うものを見たことがないんだけど・・・。」
「・・・。」
「・・・。」
確かに。
どうやら自分たちにも身に覚えがないらしく、互いに視線を交わさぬまま黙っている。
「誰がこんな色気のないガキ・・・。」
やがて、エドワードのほうがいいわけがましく呟いた。
その言葉にカチンと来たのは言うまでもない。だ。
「んですってぇ!?もっかい言って見なさいよ!!」
「ほんとのことだろ!?」
「んな・・・ななな・・・。」
すぱっと返された言葉に、は思わず絶句する。
確かに自分たちの関係は恋人同士にしてはちょっとノンシュガーだったかもしれない。
でも、この言いザマはあんまりだ。しかも、自分が気にしていることを・・・!
ぷちんと、何かが切れた音がした。
「〜〜〜っもうあったまきた!別れてやる!」
「はぁ?!」
いきなりの爆弾宣言に、さすがのエドワードも予想してなかったのか素っ頓狂な声を上げる。
思わずあっけに取られているエドワードにびしぃっと指を突きつけながらは高々と言い放った。
「別れるって言ったのよ!他にいい男なんていっぱいいるんだから!」
私に捨てられてせいぜい後悔するがいいわ!と腕を組みながら高笑いが聞こえそうなほど傲慢な態度で言う。
最初は呆然としていたエドワードだったが、すぐにいつもの調子を取り戻すと、皮肉げに笑った。
「・・・はっ!おまえを制御できるやつなんてわけないだろ。」
「せ、制御ですって!?あんた人を何だと・・・!」
機械だかなんだか、とにかく人間扱いされてないことにかちんときたは思わず詰め寄る。
下から射るように睨み上げても、エドワードは意地の悪い笑みはそのまま、ひるむことはない。
お返しとばかりに、不遜な態度で言う。
「おまえと張り合えるのは俺だけだって言ってんだよ。」
「はぁ!?意味わかんない!そんなことよりあたしが聞きたいのはあたしはあんたにとっていったい何・・・
「恋人ってのは対等じゃないとな。お前と対等でいられるのは、俺だけだ。」
「・・・!」
は自分のセリフを遮るように言われたセリフに、音を立てて固まった。
予想通りの反応に気を良くしたエドワードは、駄目押しとばかりに続ける。
「今も、これからも・・・な。」
それはなにか。
つまり、「お前には俺しかいねーだろ」と、そう言いたいわけか・・・。
「・・・勝手に思い上がってれば!」
言葉に詰まったは、顔が赤くなる前に捨て台詞を吐いて部屋から飛び出していった。
ばたばたという激しい足音と「ばか〜!!」と叫んでいるのが聞こえてくる。
「・・・確かに。の言葉の裏を読めるのは兄さんだけかもね。」
ため息をついて余韻を残しながらゆっくりと閉まるドアを見つめながら、アルフォンスはぽつりと呟く。
その言葉に、エドワードは満足そうに微笑むのだった。
***
結局なにがやりたかったのか非常に分からないこの作品。
実は最初お相手はエドじゃなかったこの作品。もとのお相手は黙秘権行使で闇に葬ります。
ってか設定恋人同士なのに何この無糖具合・・・orz
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